ペネトレーションテスト
別名:ペンテスト、侵入テスト
ペネトレーションテストとは、実際の攻撃者になりきって、システムやネットワークに対して疑似的な侵入を試みるテストのことです。日本語では「ペンテスト」や「侵入テスト」と呼ばれることもあります。
目的は、守るべきシステムがどこまで攻撃に耐えられるのかを確認することです。机上の計画だけでは把握しきれない弱点を、実際の動作を通じて明らかにできるのが、この手法の強みです。
例えば、公開中のWebサイトに対して、ログイン画面から総当たりでパスワードを試したり、脆弱性のある箇所に悪意のある入力を送って内部に侵入できるかどうかを検証したりします。もちろん、無許可でこれを行えば不正アクセスになります。あくまで開発元の合意のうえで、安全な環境下で実施することが大前提です。
ペネトレーションテストの種類は多岐にわたり、Webアプリケーションやネットワーク、サーバー、社内業務システムなど、対象に応じた手法が用いられます。さらに、外部からの攻撃を想定した「外部テスト」と、内部ネットワークに侵入された場合を想定した「内部テスト」に分けることもあります。
また、実施前の情報提供の有無によって「ブラックボックステスト(事前情報なし)」「ホワイトボックステスト(詳細な情報あり)」など、アプローチも変わります。攻撃者の視点を再現するため、技術力だけでなく、豊富な経験も求められます。
ペネトレーションテストの結果は、レポートとしてまとめられます。そこには、実際に侵入できた箇所や手法、攻撃による影響度、推奨される対応策などが明記されます。これにより、実際にはどこまで危険なのか、何を優先的に直すべきかが見えてきます。
脆弱性診断が「入り口の鍵が壊れていないかを見る作業」だとすれば、ペネトレーションテストは「実際に鍵を開けて中に入ってみる作業」といえるかもしれません。
攻撃者と同じ目線で守りの甘さをチェックする──その視点は、セキュリティ対策を一歩深めるうえで欠かせないものではないでしょうか。
用語解説の監修:増井 敏克