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IDプロバイダー(IdP)

作成者: Admin|Feb 6, 2026 5:39:15 AM

英語の正式名称:Identity Provider

IDプロバイダー(IdP)とは、ユーザーの「身元(アイデンティティ)」を確認し、認証情報を管理・提供するしくみやサービスのことです。わかりやすく言えば、「あなたが“あなた”であることを証明する役割」を担う存在です。


例えば、社内の複数のクラウドサービスにアクセスするとき、毎回それぞれのシステムにIDとパスワードを入力するのは手間ですよね。IDプロバイダーを使えば、一度ログインするだけで複数のサービスを利用できる「シングルサインオン(SSO)」を実現できます。裏側では、IDプロバイダーが認証を行い、その結果を他のサービス(これを「サービスプロバイダー(SP)」と呼びます)に安全に伝えています。


このときに使われる代表的なしくみが、SAML(Security Assertion Markup Language)やOpenID Connect(OIDC)です。これらは、IDプロバイダーとサービスプロバイダーの間で「安全に認証情報をやり取りするためのルール」です。例えば、クラウド上の業務システムが「このユーザーは本当に社内の人か?」と確認したいとき、IDプロバイダーが発行する“認証トークン”をもとに信頼関係を築きます。


また、企業利用においては、アクセス権限の統制にも大きな効果があります。どの社員がどのサービスを使えるか、退職時にアクセスを停止できているか──こうした管理をIDプロバイダー経由で一元化することが可能です。このしくみは、ゼロトラストセキュリティやクラウド時代のアイデンティティ管理の中核としても欠かせません。


一方で、IDプロバイダー自体が攻撃の標的になることもあります。不正ログインやセッション乗っ取りを防ぐため、マルチファクター認証(MFA)や認証トークンの適切な有効期限設定など、IDプロバイダーの運用そのものを守る対策も重要です。


「どこで」「誰が」「どのように」認証されているかを把握する。IDプロバイダーは、便利さと安全性の両立を支える“信頼の要”といえるのではないでしょうか。

用語解説の監修:増井 敏克