読み方:キューエスエー
正式名称:Qualified Security Assessor
QSAとは、PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)の監査や評価を正式に行える資格を持つ審査員、またはその資格を保有する企業のことです。PCI DSSは、クレジットカード情報を安全に取り扱うための国際的なセキュリティ基準ですね。カード会員データを扱う事業者は、この基準に沿ってシステムや運用を整備する必要があります。
ただし、この基準への準拠状況を「自己判断」で宣言するだけでは信頼性が足りません。そこで登場するのがQSAです。QSAはPCI SSC(PCI Security Standards Council)によって認定されており、第三者の立場から客観的に審査を行います。いわば、カードセキュリティの「公式な検査官」といえる存在ですね。
QSAの役割は、単にチェックリストを埋めることではありません。対象となるシステムや業務フローを詳細に確認し、PCI DSSの要件を満たしているかを評価します。要件を満たさない場合は、改善のための助言や方向性の提示も行います。このプロセスを経て発行される「準拠証明」は、取引先やカードブランドにとって重要な信頼の証となります。
QSAの審査は、対象の業務規模や構成によって数週間から数カ月かかることもあります。質問や証跡の確認が繰り返されるため、受審する企業側にも事前準備が求められます。監査当日だけでなく、事前のギャップ分析や模擬審査を行っておくとスムーズですね。
ちなみに、PCI DSS準拠が必要なのはカード情報を直接扱う事業者だけではありません。カード情報を処理・保存・送信する第三者サービス提供者も対象です。そのため、クラウドサービスや決済代行事業者がQSA審査を受けるケースも増えています。
QSAは、単なる「試験官」ではなく、安全なカード取引環境を広げるためのパートナーともいえる存在です。審査の場は厳格ですが、その根底にあるのは、消費者の安心と企業の信頼を守るという共通の目的。PCI DSSに関わるなら、意識しておきたい資格ではないでしょうか。
用語解説の監修:増井 敏克