英語表記:Security by Design
セキュリティバイデザインとは、システムやサービスの設計段階から、セキュリティをあらかじめ組み込んでおく考え方です。完成してから対策を加えるのではなく、最初から「どう守るか」を前提に設計する。まさに“セキュリティを最初からデザインする”という姿勢ですね。
これまでは、「開発が終わった後に脆弱性診断をして、安全性を確認する」といった流れが一般的でした。しかし、それでは見落としが発生する可能性もありますし、後から対策を講じるのは手間もコストもかかります。セキュリティバイデザインは、そうした“後追い対応”のリスクを減らすための取り組みともいえます。
例えば、ユーザー情報を扱うシステムでは、設計段階から「情報をどこで保存するのか」「誰がアクセスできるのか」「万が一のときの対応はどうするのか」といった視点を盛り込みます。その結果、自然とセキュリティ水準の高いシステム構成になるのです。
「攻撃を受ける前提で備える」というのも、セキュリティバイデザインの特徴の一つです。リスクはゼロになりません。だからこそ、被害を最小限に抑えたり、迅速に復旧できる仕組みを備えたりしておく。そういった柔軟で実践的な視点が大切です。
もちろん、すべてを完璧にするのは難しいものです。ですが、設計段階で「セキュリティをどう組み込むか」を意識するだけでも、最終的な品質は大きく変わります。私たちも、診断やコンサルティングの現場で「セキュリティは後から足すのではなく、最初から考えるものですよ」とお伝えする機会が増えてきました。
セキュリティバイデザインは、これからの開発において欠かせない視点ではないでしょうか。
用語解説の監修:増井 敏克