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フォレンジック(Digital Forensics)

作成者: Admin|Sep 26, 2025 1:23:00 AM

フォレンジックとは、サイバー攻撃や情報漏えいなどの事件・事故が起きたときに、その原因や経緯を調査し、証拠を収集・分析するための技術や手法のことです。直訳すると「法的証拠に使える調査技術」という意味になりますね。

例えば、「社内の機密ファイルが外部に流出していた」場合、まず必要なのは「いつ、誰が、どうやって持ち出したのか」という事実の確認です。このとき、パソコンの操作履歴やサーバーの通信記録、ログイン情報などを調べ、再現性のある手順で証拠を明らかにするのがフォレンジックの役割です。

ポイントは、「証拠として成立するかどうか」。感覚や推測ではなく、改ざんされていない信頼できるデータをもとに、客観的な記録として残す必要があります。そのため、調査の過程では証拠となる機器を慎重に扱い、データを壊さないよう専門的な手順でコピーを取ったり、専用のツールを使って解析したりします。

フォレンジックの対象はパソコンだけではありません。スマートフォンやサーバー、クラウド環境のログなど、調査すべき範囲は年々広がっています。また、ランサムウェアの被害や内部不正の追跡、法的手続きのための証拠収集など、対応するケースも多岐にわたります。

実際の現場では、「何が起きたか」だけでなく、「今後同じことを繰り返さないためにはどうすべきか」という視点も重要です。フォレンジックの結果から得られた気付きをもとに、再発防止策を講じる。そこまで含めて、セキュリティの成熟度を高める取り組みといえるのではないでしょうか。

デジタル化が進む中、フォレンジックの重要性は今後ますます高まるはずです。万が一のときに備えて、どんな記録を残しておくべきか。いざというときに迅速な調査ができる体制は整っているか。日ごろから意識しておきたいですね。

用語解説の監修:増井 敏克