Attack Surface
読み方:アタックサーフェス
別名:攻撃対象領域
Attack Surfaceとは、攻撃者が不正アクセスや悪用を試みる際に利用できる、組織やシステム上のあらゆる「入り口」のことを指します。外部に公開されたWebサイトやメールサーバー、社内ネットワークへの接続口、従業員が使う端末やクラウドサービスの設定不備など、その対象は多岐にわたります。
Attack Surfaceは、家のドアや窓のようなイメージです。開いている扉や壊れた鍵があれば、侵入のきっかけになってしまいます。現代の企業環境では、テレワークの普及やクラウドサービスの導入、IoT機器の利用拡大などによって、この“ドアや窓”に相当する部分が年々増加しています。
Attack Surfaceは、大きく分けると「物理的なもの」と「デジタルなもの」に分類できます。物理的なものには、サーバー室や端末そのものへの物理アクセスがあります。デジタルなものには、公開されたアプリケーション、API、メールアカウント、社内ネットワークのリモート接続口などが含まれます。
この領域が広がれば広がるほど、攻撃者が狙える場所が増え、リスクも高まります。だからこそ、組織は定期的に自社のAttack Surfaceを棚卸しし、不要なサービスや設定を閉じることが重要です。例えば、使っていないサーバーを停止する、不要なアカウントを削除する、外部公開が不要なポートを閉じるといった対応です。
また、攻撃可能領域は新しいシステム導入や設定変更、社員の異動・退職などによって日々変化します。そのため、継続的な監視と更新が欠かせません。近年ではASM(Attack Surface Management)という専門的なアプローチも登場し、外部から見える自社の姿を可視化して管理する動きが広がっています。
セキュリティ対策の第一歩は、「自分たちがどこから攻撃されうるかを知ること」。攻撃可能領域を正しく理解し、絞り込み、守ることが、リスクを最小限に抑えるための基本ではないでしょうか。
用語解説の監修:増井 敏克