Webアプリケーション診断
Webアプリケーション診断とは、インターネットを通じて利用されるWebサービスやサイトに対し、悪用されるおそれのある脆弱性を調べる検査です。
狙われやすいのは、ユーザー登録やログイン、検索フォーム、決済といった“入力”や“処理”のある部分。攻撃者はそこに仕掛けを送り込み、不正な動作を引き起こそうとします。
診断の目的は、そのような弱点をあらかじめ見つけ、被害が起こる前に手を打つことにあります。例えるなら、泥棒が鍵穴を狙う前に鍵の壊れやすさを確認し、直してしまうようなものですね。
調査の方法は大きく二つ。ツールを使い、自動的に疑似攻撃を行って問題を洗い出す「自動診断」と、専門技術者が実際の攻撃手法を踏まえて手動で確認する「手動診断」です。自動診断は広く網羅するのに向いていて、手動診断は複雑な動きや条件によって現れる問題を見つけるのに優れています。
代表的な脆弱性には、データベースを不正操作するSQLインジェクションや、利用者のWebブラウザ上で悪意のあるスクリプトを動かすクロスサイトスクリプティング(XSS)などがあります。これらは情報漏えい、なりすまし、不正送金など重大な被害の入り口となり得ます。
診断結果はレポートとしてまとめられます。そこには、脆弱性の内容、リスクの大きさ、修正の優先度、対応方法などが記載されます。健康診断と同じく、「受けて終わり」では意味がありません。結果をもとに確実に対策を講じることが重要です。
Webアプリケーションは一度作って終わりではなく、機能追加や改修のたびに新たな脆弱性が入り込む可能性があります。安全を保つには、リリース前だけでなく、定期的な診断を継続することが望ましいでしょう。
セキュリティは“知ること”から始まります。診断はその第一歩であり、安心してサービスを提供し続けるための欠かせない土台ではないでしょうか。
用語解説の監修:増井 敏克