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CRYPTREC暗号リスト
CRYPTREC暗号リスト
読み方:クリプトレックあんごうリスト
CRYPTREC暗号リストとは、日本政府が客観的な評価により判断した、安全性と信頼性のある暗号方式の一覧のことです。
そもそも「CRYPTREC」は、「Cryptography Research and Evaluation Committees」の略称です。デジタル庁、総務省、経済産業省が共同で運営する暗号技術検討会と、情報通信研究機構(NICT)と情報処理推進機構(IPA)が共同で運営する暗号技術評価委員会、暗号技術活用委員会で構成されています。電子政府──つまり行政のデジタル化が進む中で、安全な情報のやり取りを実現するために、CRYPTRECは重要な役割を担っています。
CRYPTREC暗号リストは、大きく次の3つに分類されます。
- 電子政府推奨暗号リスト
国の行政機関が使うことを前提に、特に安全性が高いと評価された暗号技術です。例えば、AES(Advanced Encryption Standard)やRSAといった、国際的にも広く使われている方式が含まれます。 - 推奨候補暗号リスト
安全性と実装性能が確認されており、今後「電子政府推奨暗号リスト」に掲載される可能性のあるリスト。 - 運用監視暗号リスト
かつてはよく使われていたものの、現在では安全性に課題があるとされる暗号技術。すでに稼働中のシステムやアプリケーション間での相互運用を継続すること(互換性維持)以外の目的では、利用が推奨されていません。
このリストは一度決めたら終わり、というものではありません。暗号技術は日々進歩しますし、新しい脆弱性が発見されることもあります。CRYPTRECは定期的にリストを見直し、安全性を再評価しています。
暗号技術は一見、専門家だけが気にすればよい話のように思えるかもしれません。ですが、私たちが日々使っているインターネットやスマートフォン、クラウドサービスも、すべて暗号の仕組みに支えられています。その中で「何を使ってよいか」「何を避けるべきか」を示すCRYPTREC暗号リストは、信頼できる指標の一つといえるのではないでしょうか。
用語解説の監修:増井 敏克