OWASP
読み方:オワスプ
正式名称:Open Web Application Security Project
OWASPは、Webアプリケーションのセキュリティ向上を目的とした、非営利の国際的なコミュニティ活動です。さまざまな情報やツールを提供し、開発者がより安全なアプリケーションを構築できるよう支援しています。
このプロジェクトの特徴は、誰でも自由に参加できることです。企業に属するエンジニアから、個人の研究者、学生まで、さまざまな人がボランティアとして貢献しています。活動の成果は無償で公開されており、商用・非商用を問わず誰でも活用できます。
中でも有名なのが「OWASP Top 10」です。これは、Webアプリケーションにおける重大な脆弱性のトップ10をまとめたもので、セキュリティ対策の指針として世界中で使われています。例えば、クロスサイトスクリプティング(XSS)やインジェクション(Injection)といった、よく知られた攻撃手法もこのリストに含まれます。
OWASPが発信しているのは、脆弱性の一覧だけではありません。セキュアな開発のためのガイドライン、テストツール、教育資料なども豊富です。「OWASP ZAP(Zed Attack Proxy)」という脆弱性診断ツールもその一つですね。こうしたリソースは、開発者やセキュリティ担当者の実務において大いに役立ちます。
私たちも、日々のセキュリティ業務でOWASPの考え方や情報に触れています。「セキュリティって難しそう」と感じる方こそ、まずはOWASPのようなオープンな取り組みに目を向けてみると、距離がぐっと縮まるのではないでしょうか。
セキュリティの世界では、日々新しい攻撃手法が生まれています。それに対応するためには、一人で頑張るよりも、信頼できる知識と仲間を持つことが大切です。OWASPは、そのよい入り口になるはずです。
用語解説の監修:増井 敏克